環境汚染と革の性質

*エコレザーと環境汚染(6価クロム)について

 

クロム柔革エコレザーの環境汚染について

クロム柔革に使用される三価クロムは、劇物毒物である六価クロムを無機・有機還元して作られますが、自然の状態で六価に戻ることは殆ど有りません。

 

革中に含まれる三価クロムは、理論上高温で燃焼又は酸化により六価クロムに戻りますが、革に含まれる三価クロムは最大革重量の5~7%までです。

又、革繊維(タンパク質)そのものとの結合やタンニン・油その他の成分が酸化されることを阻みます。

 

三価クロム単体と比べ六価に戻る危険性は極めて低く、通常の焼却などにおいても安定しています。

 

仮に微量の六価クロムが生成された場合も、元々6価クロムは3価と比べ不安定で微生物などにより、三価に還元されると考えられます。

 

又、エコレザー基準のほかの物質についても薬品基準も厳しくなり、国内で生産される革において個人的な意見ですが、基準を満たさないものは殆どないと思っています。

 

*クロム以外では、最近取り上げられた、コールタール抽出後の残物を原料としたアゾ染料の発がん性などが有りますが、130種類ぐらいの中の20種類程度が指定されています。国産革で使用されている物は、それらの使用は無いと思われます。輸入品については解りません。

 

余程特殊なものでない限り申請すれば認定されると考えられます。

 

又、三価クロムは人体の必須元素です。(ウィキペディア・必須元素としてのクロム)

医学的にも三価クロムは人体の必須要素と証明され、不足すると糖尿病の原因に成るなどの所見もあります。現在は糖尿病の治療薬として、人体に吸収されにくい三価クロムをいかに吸収効率の良いものにするかなどの研究も進み、実際に販売もされています。(クロムラクトフェリンなど)

 

 

**この記述について

私自身の認識として、書いております。この文面に対し不適切な表現など、ご指摘が有りましたら、慎重に調べて訂正する予定です。

ご意見がありましたら、お知らせ下さい。

 

 

革の特性

革と他の繊維(合成皮革など)との違い特徴を挙げてみます。

1.使用していると人の体に沿って変形していく、(なじむ)形状記憶するように

2.他の繊維に比べ、劣化が遅い(手入れをすれば、ほとんど劣化しません。)

  人間の肌と同じで、多少の手入れは必要です。(オイル・ワックスなど)

  出来れば週に一度ぐらいはから拭きする。艶も良くなります。

  ただし、汚れを取るのに洗剤の使用はお勧め出来ません。界面活性剤が塗膜に影響するからです。少し湿らせた布で拭き取り陰干し、乾燥したらから拭きする。

 

3.熱に強い。不燃物ではありませんが化成品のように、火に近づくと軟化して直ぐに燃えることも有りません。耐熱温度は100度ですが、極端に言えば、火災の中に飛び込んでも化成品のように直ぐには燃えません。火災現場などを見ればわかると思いますが、木材などの自然の物と比べ石油製品は急激に溶融して毒ガスを発生させ高温で燃えます。

革は鈍感で、燃えたとしてもくすぶるように燃え、急激に燃え尽きることもありません。皮革工場火災では有機溶剤(シンナー・ニトロセルロースなど)への着火などでかなり高温火災になりますが、工場内の積み上げた革は周りが炭常に焼けて残ります。

 

4.個別の要素(軽さ・摩擦強度・耐水性・対薬品性など)を上げれば、革がすべてに優れているわけではありませんが、総合的に見れば、人が身につける物(保護してくれる)としては最適と考えています。

5.災害現場出動の消防隊や自衛隊などでは、合成皮革靴を利用しているのでしょうか?

6.消防のロープ訓練などは、皮手袋でないと駄目なようです。

  化成品はロープとの摩擦熱で溶けてしまう。綿では物理的にもたない。

 

7.皮が利用された歴史は古く、現在確認出来るだけでも約5000年(アイスマン)

  その間、常に人体の全身を守ってきました。

  時には武具に使われたり、紙が無かった時代には記録用紙代わりに使われたり。

  用途も色々です。

8.あらゆる技術が進んだ今日に至っても、何故か戦闘機などのシートは皮張りです。

  「燃えにくい、有毒ガス発生が少ない・保温効果が高い、温度変化に鈍感」

 

長期保存した場合も、劣化するのは塗膜や内側に使っている異素材の劣化によるべたつきなどが出る場合がありますが、革そのものは大きく変化しません。

 

  皮革製品の修復